英国 丑年牛図 どのようにデザインは誕生したのか?
目次
はじめに
コインを見ていると「なんでこのデザインになったのだろう」という疑問は付き物です。
今回は、丑年記念コインの中で英国王立造幣局デザインについてさらに深堀してみました。こちらの内容はLunar Year of the Ox 2021 – Behind the Designより一部抜粋し、翻訳しております。
英国の丑年牛図の誕生ストーリーをお楽しみください。
デザイナー紹介
英国の2021年丑年牛図のデザインは、2019年猪年のデザインも手掛けた、Mr. Harry Brockway (ハリー・ブロックウェイ) が担当した。
彼は干支のテーマ以外にも、2018年クリスマス くるみ割り人形、2019年第一次世界大戦終結を記念して発行されたリメンバランス・デー( The Remembrance Day)、など数多くの英国王立造幣局の記念コインをデザインしている。
牛のデザインの起源
「牛そのものの他に、漢字とレタリングは重要な要素で、全体的な設計に含めることは絶対に必要だった。漢字やレタリングを完成させるのは特に苦労した。」と、デザインの起源を振り返る。
彼は、デザインのインスピレーションを得るため、自身のアジア旅行中の体験を思い起こした。「私は最近インドを訪れ、間近で牛を目撃した。雄牛は、角が大きく、こぶ、特徴的なのどぶくろ、があり、非常に異国情緒があった。」
この体験により、獣としての風格、威厳といった貴重な資料を体感し、独自の視点を持つことが出来たのだ。
動物の特徴を正確に捉え、デザインを向上させるため、次に過去に目を向け、創造性を刺激させた。「英国風にアレンジしたデザインで、東洋的な雰囲気を与えることが重要だった。私は18世紀イギリスで入賞した牛の絵を研究することから始めた。それらは、大抵イギリスの風景の中心に印象的な生き物として立っている。」この研究が、傑作的なデザインを生み出す手助けとなったようだ。
彼は、デザインの一部として、桜や農具など様々な要素を検討し、いくつかの牛の姿と掛け合わせながら、最終的なデザインに辿り着いた。生き物そのものに重点を置きつつ、ミニマリズムの概念を探求、つまり「少ないほど豊かである」ことに重点を置くことで、彼はデザインを洗練させていった。最終的なデザインは、余分なものを取り除き、牛を中央に配置することで、最も純粋な牛の姿を表現することに成功した。田舎の穏やかな環境で放牧された雄牛は、印象的に表現されると同時に、イギリスを背景にその美しさを表現している。
おわりに
「結局のところ、デザイン設計とは、最終的なデザインに向けて数々の要素を絞り込むように、削減の一種である。完成したデザインは、絵画に描かれた動物の優れた部分を保持しているだけでなく、雄牛を力強いが決して攻撃的ではない平和な生き物として描写している。」
以上がデザインの起源となります。こうしたデザイナーの想いに触れるとコインの見え方もまた変わってくるのかもしれませんね。
南の人
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