ニュージーランド・ポストの歴史
目次
ニュージーランド・ポストの始まり
ニュージーランド・ポストは大規模国有企業として、郵便、商品物流、支払いの分野において主要なネットワークを提供しています。ニュージーランド、オーストラリア、そのほか世界各地で多岐にわたる事業を展開しており、長い歴史のなかで、しばしば郵政事業の国際「基準」と評されてきました。
ニュージーランド・ポストの歴史を遡ると、最初に通信のやり取りをした捕鯨船員や宣教師、商人たちが、偶然通りかかる船をあてにするしかなかった1830年代の初めから、今日に至るまで、奥深い歩みを見せています。1840年には、最初のニュージーランド総督ウィリアム・ホブソンにより郵便局が創設されました。1841年に英国の直轄植民地となると、英国財務相は英国郵便局の管理下で郵便局を設立する許可証を発行しますが、1850年には植民地に権限が返還されました。当時の郵便は、岸から岸へ船で送ることが、国内での配達には一番信頼のおける方法でした。
1860年代の終わりまでに、「郵便集配人」による配達と私書箱が導入され、政府機関向けの代行業務も提供し、郵便為替の利用のために郵便貯金局が開設されました。1880年までには850を超える郵便局が開設され、1881年に電信部が郵便事業部と合併し、ニュージーランド郵便電信局が誕生しました。これが後のニュージーランド郵便局となりました。
成長を続けてきた20世紀
ニュージーランド郵便局は、20世紀を通して急成長を続け、郵便局、貯蓄銀行、電話局等の幅広い役割により確固たる地位を築き、20世紀中頃までに、郵便局は政治、社会、そして経済のニーズを満たす組織に成長しました。従来の通信サービスに加え、出生届から、婚姻届、死亡届、自動車登録、年金費用の集金に至るまでの広範なサービスは地域社会にとって重要なものでした。
1960年代と1970年代には、郵便のかつてないほどの取扱量の増加に対し、適切に対処するための措置が講じられましたが、1980年代までに、増え続ける消費者の需要を満たすことが次第に困難になりました。そこで1985年、郵政公社総裁のジョナサン・ハントが、郵便局の組織と経営構造の見直しを命じました。
大規模国有企業として
1987年4月1日、ニュージーランド郵便局は「企業化」され、主要3事業は、電気通信、郵便貯金銀行、ニュージーランド・ポストに分割され、それぞれの企業が国有企業(SOE)になり、営利組織としての経営が求められました。1989年にニュージーランド・ポストと政府が作成し、1998年に改訂された合意書によって、国際郵便サービスの提供者としてのニュージーランド・ポストの立ち位置がゆるぎなく示されました。
1998年には郵便サービス法が承認され、ニュージーランド・ポストによる通常の書信配達の独占を廃止し、郵便サービスを完全な競争市場として開放しました。こうした規制緩和下にあっても、ニュージーランド・ポストは、合意書に従いニュージーランド全土への一般的な郵便集配サービスを提供することが求められています。
コインビジネスへの進出
ニュージーランド・ポスト・グループの一員であるエンタープライズ・グループは、新規ビジネスの開発と運営を担っており、蒐集品業務に取り組んでいます。この蒐集品業務部門では、記念切手だけでなく、ニュージーランド準備銀行に代わって法定通貨記念コインのデザイン、調達、マーケティングを独占的に担当しています。
ニュージーランド・ポスト・グループの諸々の事業は、グループのサプライチェーンの実力と商業的専門性を実証するものであり、それこそが、コインビジネス、具体的にはニュージーランド準備銀行と締結しているコイン供給契約の運営を、しっかりと支えるベースになっているのです。
コイン発行で得た知見を武器に
蒐集品業務部門では、特に目の肥えたコインコレクターや国内外の複雑な流通ルートを持つ業者向けに商業的に見合う製品を提供し、サービスを構築することに高い知見を有しています。今後も複雑なインフラと数十年にわたる目の高いコレクター向けのサービスから得た知識を活用して、付加価値を持つコレクターコインビジネスの発展に向け取り組んでいるところです。過去のコレクターコイン発行を通しての、豊富な知見の蓄積とほかの造幣局との強い関係が、ニュージーランド・ポストのコインビジネスにおける大きな財産となっています。
コインを通して国の魅力を紹介
蒐集品業務部門では、国としてのアイデンティティを余すことなく見せる、質の高いニュージーランドの通貨に焦点を合わせながら、商業的な戦略を進めることを常に念頭に置いています。スタッフは、貴金属、包装、テーマ策定、鋳造者選定、発行、コレクターサービスにおいて、実践的な専門性を持ち合わせています。当部門の重要な役割としては、コイン、切手、記念品の発行、マーケティングを通して行われるニュージーランドの文化、遺産、重要な記念日、イベントの紹介、祝賀があり、グループの全面的な支援のもとで事業を推進しています。
※画像はニュージーランド・ポストから許可を得て使用しています。
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