15年ぶりに英国の通常貨デザインが一新!2023年末に流通開始 | 泰星コイン<創業1967年>

HOME ウェブマガジン コインニュース 15年ぶりに英国の通常貨デザインが一新!2023年末に流通開始

15年ぶりに英国の通常貨デザインが一新!2023年末に流通開始

2023年11月07日
 

目次

新国王戴冠に併せ、すべての通常貨がデザイン一新

英国王立造幣局は、2023年10月12日、今後新たに英国の通常貨として使用される、2ポンド貨から1ペニー貨に至るまでの新しいコイン8種類のデザインを発表しました。新デザインは、エリザベス2世時代の2008年に導入された一つの盾形で構成された通常貨デザインに代わって15年ぶりに導入されます。

 


2008年導入の通常貨デザイン

 

チャールズ3世直々に承認された現代的なデザインは、すぐに英国をはじめ世界中の人々に親しまれることでしょう。国王チャールズ3世の治世における最初の通常貨の発行は、英国史における大切な節目といえる出来事です。これを記念して、新しい8枚の通常貨デザインを一つひとつご紹介します。

新通常貨 各デザインのご紹介

新しい通常貨の裏面デザインには、それぞれ連合王国4カ国の動植物が取り上げられています。すべてに共通しているのは、額面を刻印した左側の背景を埋め尽くす、三つの「C」が連なったユニークな繰り返しのパターンです。

 

1ペニーの裏面には、小型哺乳類のヨーロッパヤマネが描かれています。主に英国南部に生息するこの動物は、2007年以降、生息数が半減しているため、その減少を食い止めるべく、国内13の郡で1000匹以上が導入されました。

 

 

2ペンス裏面に描かれたキタリスの実際の色は、コインの赤みを帯びた色合いと完璧に調和しています。英国では75%がスコットランドに生息しています。現在、絶滅を避けるため個体数を管理する保護活動が行われています。

 

5ペンス裏面には、樫の木の葉を描いて、英国の森林地帯が生物多様性の豊かな生息地であることを表現。多くの生命を支えている樫の木は、古代の英国王も樫の葉の冠をつけていたことから、君主制とも長い関わりがあります。

 

 

10ペンス裏面には、スコットランドのごく一部に生息する世界最大のライチョウである、オオライチョウが描かれています。18世紀半ばに一度絶滅した種ですが、現在また2度目となる絶滅の危機に瀕しています。

 

20ペンス裏面には、海鳥のツノメドリをデザイン。ツノメドリは、全世界の個体数の10%が英国の海岸線で繁殖しています。レッドリストに分類されていますが、営巣地の確保と保護対策が講じられれば、望みはありそうです。

 

 

50ペンス裏面には、優先保護種であるアトランティックサーモンが描かれました。野生の個体数は河川の汚染、生息地の喪失、水温の上昇などにより減少傾向ですが、水質がきれいな英国北部、南西部の川で見ることができます。

 

1ポンド裏面には、マルハナバチ、セイヨウミツバチなど英国に250種以上が生息するハチが描かれました。多くの植物の受粉において、極めて重要な役割を果たす彼らは住宅地の庭、公園、森など国中のいたるところで確認できます。

 

 

2ポンド裏面には、国王の就任演説に着想を得て、英国の四つの国を象徴する植物として、イングランドのバラ、ウェールズのラッパスイセン、スコットランドのアザミ、北アイルランドのシャムロックが描かれました。この2ポンド貨のみ、エッジに国王自らが選ばれたラテン語「IN SERVITIO OMNIUM」(すべての人に奉仕する)を刻印。これは就任演説からの引用です。

国王チャールズ3世肖像面

表面は、彫刻家マーティン・ジェニングスによる国王チャールズ3世の肖像。2023年銘の各通常貨の記念コインには、チューダー王冠の形をした特別なプリヴィーマークも刻まれています。

 

新しいデザインについて

新しい8種類の通常貨のデザインはいずれも、50年以上にわたって環境問題のキャンペーンを展開し、次世代のために自然保護の重要性を訴えられてきた国王チャールズ3世の情熱を反映したデザインとなっています。今回の新しい通常貨について、英国王立造幣局のCEOと主任彫刻師は、以下のようにコメントしています。

 

 

“新しい君主の即位を記念して英国コイン一式が変更になる極めて歴史的な瞬間です。デザインは、環境保護や自然界への国王の取り組みを反映するものです。このコレクションは、アルフレッド大王からエリザベス2世に至る歴代君主の歴史に、誇りをもって加えられることでしょう。「C」の文字が連なるユニークなパターンで飾られたデザインは、チャールズ2世時代に思いを馳せると同時に、新国王の環境保護に対する献身を称えるものです”
(英国王立造幣局 CEO アン・ジェソップ)

 

 

 

“国王と英国を、私たちのデザインに反映できる機会を得たことを光栄に思います。8枚の通常貨のすべてに自然と野生生物を描くのは初めてのことです。1ポンド貨や1ペニー貨の小さなキャンバスにアートを描くには大変な技術が必要ですが、英国王立造幣局は1100年以上にわたって、この専門技術に磨きをかけてきました。新しいコインが国民の手に渡るのが待ちきれません”
(英国王立造幣局 主任彫刻師 ゴードン・サマーズ)

 

 

 

著者 Author
yama
趣味はメダカの飼育とキノコグッズ集め
メルマガ担当